弊社では長年、光学部品や試作開発部品を手がけておりますが、スチール(鉄)製の部品は、ごくごく僅かです。
もしかすると、身の回りで一番多い金属かも知れない鉄ですが、建築金物など、幾ら錆止めして塗装しても、時間が経つと錆びて劣化してしまいます。
ステンレスに比べ材料費が安いのが大きな魅力ですが、弊社ではステンレスばかり削っているせいか、逆に鉄の方が削りにくくなっており、多くの場合で鉄よりもステンレスの方がコストが低くなります。
企業のお客様から鉄の指定で図面を頂く時には、ステンレスへの変更依頼を出させて頂く事が多いです。
鉄=安い、というイメージがあるので、簡単な部品で安く済ませたい、と言う場合に鉄をご指定頂く事が多いですが、結局メッキをする必要があったり、余計な手間を考えるとステンレスの方がずっと簡単です。
鉄の加工に慣れている工場では、ステンレスは粘りがあって削りにくい、という意見もあるかと思いますが、加工時の刃物、送り速度などにより良い条件に変えられますので、削りにくいと言う事はありません。
弊社ではステンレスより削りにくい、ニッケル系の材料も多く扱うので、それに比べたらずっと削りやすい材料です。
今回のお客様は既存部品との関係や、ご自分で黒染めすることをご希望で、ご指定のまま鉄で加工致しました。材質はSS400という、鉄の中でも最も一般的な部類の一つです。
写真では錆びたような色になっていますが、加工後そのままの状態で撮影致しました。
上の写真は薄く、小さい部品なのでフライスで加工するのは大変ですが、ワイヤーカットで加工すると変形することなく、肉厚をギリギリまで薄く加工できます。
ただ、鉄やステンレスを加工すると、カットした断面が錆びたように変色してしまい、表面も他の金属と同様ザラザラになります。
見た目ほどはデコボコしているわけではないのですが、光沢が無くなるのでやはり品質は低下してしまいます。
磨ける部分に関しては、このあと磨いて納品しますが、メッキをする場合はほとんど目立たなくなるので、このままお納めする時もあります。
1-OFF.jpへご依頼頂くお客様のほとんどは、鉄をご依頼頂く事はありませんが、ミクロ工業へ依頼する場合は、鉄よりもステンレスの方が安い、という事を覚えておいてください。
ただし、材料費に関しては鉄の方がずっと安いですので、大きな部品に関しては、材料費分、ステンレスの方が高くなるケースもありますのでご了承ください。