望遠鏡用部品
今回ご紹介する部品も、A7075です。
一般的な光学用部品ですと、実はA7075はほとんど扱いません。A5056(A5052)を使う事が多いです。
材料コスト、加工コストは、若干ですがA7075の方が高くなりますので、それも理由の一つだと思いますが、あとは材料の流通性やメッキ時の不具合を避ける、硬すぎてしまう、などの理由があると思います。
コストに関しては企業のお客様は少しでも費用を抑えようとするのは当然で、点数が多い場合は材料を変える事で生じる金額の差も少なくないでしょう。
流通性に関しては、丸棒や板材で、A5056(A5052)の方が種類が豊富で材料屋さんも在庫を持っているので入手性も良いです。
入手性の悪い材料は材料費が高くなる場合があり、加工コストが余計に掛かってしまう可能性も高くなります。
メッキに関しては光学部品を普段から取り扱っているメッキ屋さんであれば問題ないですが、アルマイトは材料の種類によって被膜の付き方、染料の乗り方が違ってくるので、そのノウハウを知らないと、A7075にアルマイト処理をしたら色が付かなかった、などというトラブルが起きやすくなります。
一方個人のお客様の場合、一点物でコストは多少高くなっても良いが、耐久性や必要な強度に関してはどの程度にすべきか分からないので、手に入る最も良い材料で、というのがこの材料を選ぶ大きな理由でしょう。
特に光学系の企業様の場合は長年培ったノウハウで、どの材料にすべきかの判断ができ、その結果ほとんどA5056になっていますが、大学や研究機関のお客様では、実験の際のトラブルを防ぐ為、できるだけ強度の高い物をお求めになるケースも多いです。
弊社の側からは、どの材料が良いか参考程度のアドバイスしか出来ませんので、最終決定はお客様にお願いしておりますが、普通強度が弱い物を求められる事は余り無いので、耐久性が必要でしたら、やはりA7075をお勧め致します。
ただ、その場合でも、使用方法によっては強度不足になる事も十分考えられますので、その点に関しては何卒ご了承ください。
ご紹介が遅くなりましたが、写真の部品は望遠鏡に取り付けるスペーサーで、メッキはしておりません。